8 第1章 介護保険制度についてる認定まで,原則として,要介護認定等基準時間と呼ばれる介護の手間の判断によって審査が行われる」(調査テキスト1頁)。よって,「心身の機能の低下と,介護の量は必ずしも比例関係にあるわけではなく,心身の機能が低下するほど介護量が増大するとは限らない。完全な寝たきりの状態は,残存機能がある場合よりも介護量が減少することがあるのは一例である」(同22頁)とされている。このように,要介護認定の肝は「介護の手間」の時間を適切に判断することにある。「介護認定審査会では,介護において特別な手間が発生しているかどうかを議論する場合,例えば,『ひどい物忘れによって,認知症のさまざまな周辺症状がある』という行動があるという情報だけでは行わない。こういう情報に加えて,『認知症によって,排泄行為を適切に理解することができないため,家族が常に,排泄時に付き添い,あらゆる介助を行わなければならない』といった具体的な対応としての『手間』の記述があり,その多少が示されてはじめて,特別な手間かどうかを判断する根拠が与えられるということが理解される必要がある。適正な審査判定には,介護の手間の増加や減少の根拠となる特記事項や主治医意見書の記述が介護認定審査会資料として記載され,残されていることが必要であり,また介護認定審査会委員は,二次判定に際して,介護の手間が根拠となったことを明示することが必須となる」(調査テキスト2頁)。専門職後見人等としては,本人の要介護が適切に認定されるように,普段から「介護の手間」を要する根拠となる具体的事実を収集しておく必要がある。4 介護保険の申請要介護認定等を受けるために,申請書に介護保険の被保険者証(第2号被保険者の場合は健康保険の被保険者証)を添付して各市町村に申請する必要がある。専門職後見人等は,利用者の代理人として,居宅介護支援事業者,介護保険施設,または地域包括支援センター等に申請に関する手続を代行してもらうことができる(介保法27条1項,32条1項)。
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