在施
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21特記事項の瑕疵としては,調査者のCMがAさんの状態像を具体的に把握できていない場合が散見される。よって,Aさん以外の家族,他の関係者からAさんの状態を具体的に聴取する必要がある。ただ,Aさん以外の家族,他の関係者から聴取する場合には,Aさんの心情を考慮して,Aさんの前では聴取しない方がよいであろう。カ 主治医意見書主治医の中には,認知症の専門でない医師,Aさんの状態の把握が十分でない医師もいるので,主治医意見書についても,「主治医意見書記入の手引き」を参考に,認定調査票と同様に事実記載の欠落等について検討する。キ 判断過程の統制判断過程の統制の例としては,極端ではあるが,分かりやすく説明すると,《scene1》の場合において,ズボン等の着脱の項目で,基本調査には「2.一部介助」にチェックがあり,特記事項に「認知症による着衣失行があり,ズボンを腕に通そうとし,それをやめるように説明して足からはくようにアドバイスをすると怒りだし,介助者に暴力を振るうので,Aさんが落ち着くのを見計らい何度もズボンを足からはくように支援する必要があるため,着衣のたび毎回(1日2回),ズボン等の着脱だけで20分程度かかる。」という記載があったとする。専門職後見人等としては,少なくとも通常よりも介護の手間がかかる可能性があり,要介護度が変更になる可能性があることを主張できれば足りる。《scene1》では,介護認定審査会が適正に審査していたならば,上記事実は,「介護の手間」の総量である要介護認定等基準時間を増やす事実であるにもかかわらず,この事実を無視して,一次判定どおり要介護度2にした判断過程に瑕疵があったといえるであろう。このように,特記事項で「介護の手間」を増やす事実が記載されていた場合には,通常よりも介護の手間がかかる可能性があり,要介護度が変更になる可能性があることを主張することになろう。判断過程の統制については,「二次判定を含む審査の過程においては,認定調査の段階における質問への受け答え等で直ちに問題が見られなかったと第2介護保険を利用するまでの流れ

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