在施
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23なっていたものであるところ,特に主治医の診察は申請の約3か月前にされたもので,その後の短期間に大きな症状の変化が見られるとは直ちに考え難いことからすれば,上記の認定調査の結果のみで結論を導くことはできない。そして,認定調査においては,一般にも,主治医意見書の記載等も踏まえつつ,調査対象者についてより頻回な状況を明らかにしてそれを基に認定をすべき場合があるとされていること(略)からしても,主治医の所見が平成27年12月と平成28年3月とで異なるものとなり得るのか,仮に異なっているとして,それはごく一時的な事象によるのかといった点について,主治医への確認が必要となるものと解される(なお,認定要領においては,短期記憶については,過去1週間の状況との比較が求められているところであり,……,過去1週間の状況を直接把握することができないために,調査日の状況が一時的に改善された状況であったか否かに疑義が残る場合には,継続的に申請者を診察している主治医等に,それ以前の状況も含めた確認をすることが必要であると解される。)。この点に関し,本件における認定調査に際しては,担当のケアマネージャーへの確認はされ,短期記憶について問題がないという趣旨の回答が得られていたこともうかがわれるが,短期記憶の点に関して,具体的にどのような確認がされ,例えば過去1週間と比べて調査日の状況がどうであったかがどのように把握されたかは定かではないし,いずれにせよ,主治医の意見とのそごの点についての疑義は残るから,ケアマネージャーが短期記憶に問題ないと回答したとしても,上記のような主治医の意見を踏まえての更なる情報収集の必要性には変わりがないところである。もとより,主治医であるI医師が『短期記憶』として念頭に置いている内容が,認定調査において問題としている『短期記憶』,すなわち面接調査の直前に何をしていたかを思い出せるか否かとは質的に異なる内容を意味しており,主治医の意見と認定調査の結果との間に特段の矛盾はないという可能性もあるが,この点も,主治医に,意見の趣旨に関する具体的な確認を取らないままに判断できることではないというほかない。」「そして,短期記憶に関する選択が変更されれば,要介護認定等基準時間が3.4分から10.1分へと,6.7分増加することとなり得る(略)ところ,本件処分の前提となった要介護認定等基準時間は22.8分であったことからすれば,上記6.7分が加算されることで,少なくとも要支援状態には該当する第2介護保険を利用するまでの流れ

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