在施
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7912)これらは,介護保険における住宅改修を利用した。13)ペンダント型のものを首にかけ,転倒等があった際に緊急ボタンを押すと消防局消防指令センターに通報され,救急車や消防車等が駆け付けてくれるサービス。各市町村によって異なる。ウ 本事例の対応策結論としては,施設入居を取消し(キャンセル料は無し。),自宅での生活を続けることになった。在宅生活のリスクを軽減するため,転倒事故防止策として階段に手すりの取付けおよび滑り止めの表面加工12)をし,また,緊急通報システムの利用13)をし,訪問介護の回数を週2回に増やすこととした。TはXに,「自宅での生活のメリットとデメリットを考慮して自己決定を行う。自宅で生活すれば階段から落ちて骨折等のリスクはあるが,そのリスクを考慮してもなおBさんが自宅での生活を希望することは,まさに本人の自己決定であるので,自己決定を尊重して本人の意思を実現すべきである」旨を説明した。これに対して,Xは「今は週に1回しかヘルパーを利用していない。仮に階段から落ちて骨折した場合に,1週間動けずに脱水等になることもあり得る。そうなったら家族の責任になる。だから家族としての責任を果たすべくBには施設に入居してもらう。」と続けた。TはXに,「訪問介護の回数を増やすことは可能である。仮にXの言うとおりになったとしてもXや補助人に責任はない。本人の自己決定の結果であるので,誰にも責任はない。ただ,リスクの危険性が高まっている中で,補助人が何もせず,本人にとって重大な結果が発生すれば,補助人が法的責任を負うことはあり得る」旨の説明をした。なお,家族等の意見は,玉石混交であり,本人の意思を実現しつつ想定されるリスクを軽減して支援していく上で必要な意見は考慮すべきであるし,そうでないものは対応しなくてもよい。本人の意思に反しているとしても家族等の意見を聞かないというのは極端過ぎ,適切ではない。今後のBさんに対する支援は,Bさんの意思を尊重しながらTが行い,XはBさんには関わらないで,Tに任せることとなった。ただし,Bさんが他界したときにのみTからXに連絡するということになった。第2具体的な事例について

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