在施
52/60

80 第2章 自宅か施設かの選択〜本人が望むなら基本的には自宅での生活を支える〜エ まとめこの事例は,家族等が,本人の在宅生活が危険と考え,施設入居を進めた例であるが,本人の意思に反して,CMや病院等が施設入居を進める場合もある。これらの場合であっても,専門職後見人等としては,本人の意思を実現することが最重要であること(後見ガイド12頁),憲法で保障されている居住の自由を不安感や抽象的なリスクで制限することはできないこと,在宅生活によって生じるリスクについては,適切な支援を行えば責任は問われないことなどを説明して,積極的に意見を述べる必要があろう。⑵ 当初CMが反対していたが,本人の意思を尊重して自宅復帰した例《scene3》在宅生活を送っていた認知症高齢女性Cさん(90歳,単身)は,2か月ほど入院し,その間に発語が乏しく,ほぼ寝たきりとなり,食事等についても全て全介助の状況であった。退院に向けたカンファレンスを病院で行ったとき,病院の各専門職から「疾病」や「心身状態」,食事,排せつ,入浴,移動等の状況などの報告があった後,今後の居所について検討することとなった。カンファレンスの冒頭で,担当CMが,開口一番,「自宅での生活は無理だから,施設の検討を」と言った。このようなとき,Cさんの成年後見人T(5年間担当)は,どのように対応すべきか。本人の意思を尊重し,その意思を実現するには,支援者による支援が不可欠であるので,支援者に納得してもらうことが重要となる。対応のポイントは,以下の点である。α 支援者に自己決定権の尊重や意思決定支援を理解してもらうβ 支援者に積極的に本人を支援してもらうために,支援者の不安感を軽減するPoint! 

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る