在施
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81*現在の支援者が不適格であると判断した場合には事業所の変更も検討する。ア 支援者へ理解を求めるこの担当CMのように,カンファレンスの出席者の中に,意思決定支援の考え方を理解していない支援者がいるときがある。そこで,専門職後見人等としては,第1段階(α)として,本人に対する意思決定支援をして,本人の意思確認を行い,本人の意思を実現していく必要があることを,担当CM含めカンファレンスの出席者に説明して理解してもらうべきである。イ 本人の希望実現のための道筋と支援者の不安感の聴き取りTは,Cさんの発語は乏しいもののCさんは退院して自宅での生活を希望するとの意思を表明していること(Tがカンファレンス前に医療ソーシャルワーカー立会いの下,Cさんの意思を確認していた。),Tが成年後見人に就任してから5年間一貫して本人が自宅での生活にこだわっていること,さらに,計画(ケアプラン)さえ立てていない現時点では,課題に応じて自宅で生活するための計画を立てて実行した上で,経済的にその計画を実行することができるかどうか等の判断さえできないこと,また,経済的に実現可能であれば,その計画を実際に試してもいないのに,施設優先の意見をCMが言い出すのは意思決定支援の考え方に沿わないことを説明した。すなわち,「後見人等は,民法(明治29年法律第89号)第858条等の趣旨に基づき,障害特性や本人の状況等を十分に踏まえた上で,本人の意思の尊重を図りつつ,身上に配慮した後見事務を行う必要がある。これに加えて,後見人等が本人を代理して法律行為をする場合,本人の意思決定支援の観点からも,本人の自己決定権を尊重し,法律行為の内容に本人の意思及び選好(本人による意思決定の土台となる本人の生活上の好き嫌いをいう。以下同じ。)や価値観を適切に反映させる必要がある」(基本計画2期11頁)ので,「本人の自己決定権を尊重」することが重要であることを担当CMに説明すべきであろう。これに対して,CMは,自分はCさんのCMに就いたばかりで,ほぼ寝たきりの利用者の支援経験がないため,自信がないとのことであった。第2具体的な事例について

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