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もっとも,短期間の別居ではこのようにとらえることができないので,「一定期間」の別居が要求されます。⑵ 共同生活の外形―同居・協力・扶助義務(民752条)の違反夫婦の共同生活を維持するために必要なことは,まず,同じ住居に住む(「同居」)ということです。同じ家に住めば,「ともに食べ,ともに寝る」ということが自然で,逆に同じ家に住んでいなければそれは困難になります。同居は夫婦の共同生活を外側から保障するものです。そこでまず,夫婦間には「同居義務」が課せられています。「夫婦は同居(し,互いに協力し,扶助し)なければならない」(民752条)。ただし,単身赴任などのように職業上の理由で別居せざるを得ない場合は同居義務に反しているとはいえないでしょう。また,「家庭内別居」は外形的には共同生活を送っているので,同居義務違反の問題は生じません(当然ですが,配偶者からの暴力がある場合には同居義務はありません。)。⑶ 共同生活の内実ア 性的な関係a 当事者間の義務貞操義務(夫婦関係以外では性的関係を持たないという義務)は,民法典には書き込まれていませんが,夫婦間に生じる義務として認められています。「同居」は「共生」だけではなく「共床」「共食」を含むものであり,親密な関係を持つことが,夫婦の関係の中核をなすことは確かです。もちろん,この義務を認めたからといって履行を強制することができないことは,同居と同じです(不貞行為についてはQ18参照)。b 第三者との関係貞操義務は当事者間の義務として構成されていますが,第三者に対する権利として主張することができます。判例は,夫婦の一方と性関係をもった者に対してなされた夫婦の他方からの慰謝料請求を認めています。ただし,婚姻関係が「破綻」した後に生じた不貞については,第三者は不法行為責任を負わないとされています。ここで,裁判例の「破綻」の認定について,第三者に対する慰謝Q1 離婚事件の留意点3

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