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Q29以下参照)。認められる傾向があり,離婚請求される側の有責性が高い場合,別居期間が長くても認定されない場合があります。双方の「有責性」が同程度と判断された場合は,別居3,4年で認定されているものもあります(離婚の有責性についてはQ25参照)。このように,婚姻が破綻しているとして離婚が認容されるかどうかについては,別居しているかどうか,別居期間,別居に至る原因がポイントになります(「婚姻を継続し難い重大な事由」。民770条1項5号による離婚)。⑸ 清算的財産分与の基準時としての「別居」(同居・協力・扶助の関係)財産分与の対象財産を確定するための基準時は原則として別居時です。婚姻中の夫婦の協力による共有財産が清算の対象財産です。「別居時」は清算の対象財産の範囲を確定するための基準時です。「清算的財産分与は,夫婦の協力によって形成した財産を分与対象財産とするものであるから,夫婦の協力が終了する別居時を基準とすべき」としています(島津一郎ほか編『新版注釈民法(22)』(有斐閣,2008)221頁)。現在の実務はほとんどが別居時によっています(財産分与についてはなお,「家庭内別居」が続いている場合には,同居していれば経済的にそれぞれが独立しているとはいえないので,多くの場合,協力関係が終了しているとはいえないとされています。⑹ 婚姻費用分担義務の始期・終期としての「別居」ア 始 期婚姻費用分担請求(民760条)は,夫婦の同居・協力・扶助義務(民752条)と同様に婚姻によって生じます。実務上は,別居後に請求されることが多いですが,始期について「請求時」とするか,「別居時」とするか争いがあります。実務上は,原則として「請求時」としています(婚姻費用については,Q50以下参照)。ただし,どのような場合に請求時から過去に遡って請求できるかについて争点となっており,別居に至る事情や義務者の収入あるいは資力からみて,請求時以前に遡って分担させても過酷とはいえず,その分担を免れることが著しく公平を欠く場合には,請求時点以前よりQ1 離婚事件の留意点5

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