72 不動産関連資料の多様性の手続を行うことになる。まず法務局にて取得できるものとしては,登記事項証明書,地図(公図を含む),地積測量図,建物図面等がある。また市町村で取得できるものとしては,固定資産評価証明書,建築計画概要書,道路台帳等がある。 なお資料の性質に応じて,私的資料(契約書等)と公的資料(登記簿や申請書等)の分類が可能である。なお,両者に証拠としての優劣が特段あるわけではない。そもそも多くの公的資料が私的資料を前提にしている(例えば,相続登記申請の際に遺産分割協議書を添付書類として提出する)。よって,各文書の作成経緯に照らして,事件ごとにその証拠価値を検討していくことになる。⑵ 機能的多様性 資料には,様々な種類のものがあり,これを整理することは容易ではない。また,整理したところでその分類に直接法効果が結び付けられるというわけでもないため,整理する意味があるのかもやや疑問である。しかし,数多くの資料を概観し,一旦類型的に整理するためには大まかでも分類は必要と思われる。そこで,資料の有する機能の観点から,以下のように整理することにする。 ⒜ 不動産の客観的状態に関わるもの 登記事項証明書,土地又は建物等の図面,写真,不動産の所在地に関する地図等が挙げられる。 ⒝ 不動産の権利関係に関わるもの 売買契約書,担保権設定契約書,賃貸借契約書,信託契約書等である。❖民事保全手続(占有移転禁止の仮処分)や競売手続の際に,対象不動産の占有状況を確認した書面が作成されるが,これも不動産の客観面での資料といえよう。なお,増改築は登記に反映されていないことが多い。現地に赴かないと判明しないものもあるので,やはり不動産訴訟において現地調査は必須といえよう。また,占有補助者や未登記の建物の存在は登記によっては確認できない。❖一定のものは登記により公示されるが,実際に契約書を確認しないと判明しないもの(敷金の額や増改築禁止特約等)もある。また権利に関する事項であることから,契約書にない場合,あるいは法律上成立するものは,そもそ
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