不証
32/76

3 攻撃防御方法との関係8第2節 不動産訴訟における資料の役割2) 意匠法の保護対象に新たに「建築物」が追加される改正が行われた(令和元年法律第3号)。3) 民訴規則55条2項にも「書証の写し」との表現がある。 ⒞ 不動産の規制に関わるもの  不動産はその公益性から,建築基準法や都市計画法等の法規による建築規制を受ける。その内容を把握することは極めて重要である。 ⒟ 不動産の経済価値に関わるもの  不動産鑑定評価書の他,地価公示の根拠資料,固定資産評価証明書,路線価等の公的資料がある。また調査機関(公的機関,民間機関かは問わない)による各種統計資料(データ)もあり,これによって不動産の経済価値の将来動向の検討も可能になる。また不動産の経済価値を左右する取引価格,賃料等に関する資料もあり,これには,建設事例,取引事例,収益事例,賃貸借等の事例等(これらのうち規範性のあるものは不動産鑑定評価書に採用される)が挙げられる。⑴ 総 説 ⒜ 書証  書証とは,本来的意味としては,文書を証拠方法とし,そこに記載された意味内容を証拠資料とする証拠調べである(民訴219条)。ただし実務上,文書それ自体も書証と称することがある。3) ⒝ 文書の種類  文書は,処分証書(契約書,借用証書,遺言書など)と報告文書(領収書,商業帳簿,陳述書など)に分類される。処分証書とは,意思表も契約書を持参して現地に赴いたとしても判明するとは限らない(商事留置権,通行地役権等)。とはいえ,明認方法による権利発生(借地借家法10条2項参照)もあるため,やはり現地調査は欠かせない。❖いかなる地域にいかなる建物を建築できるかは,建築関連法規により細かに規制されている。また,処分時も処分方法について規制を受けることになる(廃棄物の処理及び清掃に関する法律〔昭和46年に施行〕)。当事者はその範囲内でのみ不動産を利用・処分できるにすぎない(建物のデザインについてすら規制されることもある2))。

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る