不証
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11することがある上,鑑定費用もかかるため,鑑定を申し出る場合はこの点も勘案する必要がある。4)❖最判平成7年7月18日民集49巻7号2684頁は,要役地が共有に属する場合において,当該要役地のために承役地の単独所有者に対して地役権設定登記手続を求める訴えは保存行為であるため固有必要的共同訴訟に当たらないとしているが,承役地が共有に属する場合において,通行地役権者が承役地につき通行地役権設定登記手続を求める訴えが固有必要的共同訴訟に当たるか否かについては,最高裁判例はない。なお,最判平成10年12月18日民集52巻9号1975頁は,承役地の共有者全員が被告とされ共通の代理人により統一的に訴訟行為がされていたため,判断されていない。3 攻撃防御方法との関係4) 岸日出夫ほか編『Q&A建築訴訟の実務』(新日本法規出版,2020年)Q83〔坂井唯弥〕参照。5) 林圭介「専門委員の関与のあり方─理論的考察と関与モデルの紹介」判タ1351号4頁参照。⑶ 訴訟上の行為の制約 不動産は公益的なものであり,紛争が生じた場合,当事者の訴訟上の行為についても制約が生じることがある。 ⒜ 原告適格  都市計画訴訟(第6章)や環境訴訟(第8章)においては,原告適格の有無が争点となることがある。 ⒝ 処分権主義と弁論主義  不動産訴訟の一部の類型については処分権主義や弁論主義が適用されないものもある。また,訴訟形態それ自体が制限されることもある。例えば,共有地についての境界確定訴訟(最判昭和46年12月9日民集25巻9号1457頁)や不動産の共有物分割訴訟(大判明治41年9月25日民録14輯931頁)などでは,固有必要的共同訴訟(共同して訴訟を遂行することが強制される訴訟形態)となり,訴訟形態が制限されている。⑷ 専門家の関与 不動産訴訟は専門性の高い部類の訴訟類型であることから,不動産に関する知見を有する者(建築士・不動産鑑定士等)を手続に関与させるため,調停や専門委員制度(民訴92条の2)5)を利用することもある。

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