491 総 説/2 登記事項証明書・農地台帳・林地台帳・森林簿面の交付を受けることができる。これにより,賃借権等の種類,存続期間や遊休農地の措置の実施状況などを確認することができる。 また,平成28年5月の森林法の改正において,市町村が統一的な基準に基づき,森林の土地の所有者や林地の境界に関する情報などを整備・公表する林地台帳制度が創設された(平成31年4月から制度運用が開始された)。林地台帳とは,地域森林計画の対象となっている民有林を対象(地域森林計画の対象森林は,都道府県が森林法5条に基づき定める)に,森林所有者等に対する指導・監督を担う行政主体である市町村が作成するものである(同法191条の4以下)。上記民有林について,新たに当該森林の土地の所有者となった者は,登記とは別に,市町村長にその旨を届け出なければならない(同法10条の7の2第1項)。つまり,林地については登記簿と林地台帳が存在することになる(林地台帳の記載事項は一部を除き公表される。同法191条の5第1項)。 また,森林簿という公的記録も存在する。これは,地域森林計画(森林法5条1項)を立てるため,都道府県において森林の基礎データをまとめているものである。その中には,「森林所有者」,「現況」(樹種や林齢などの森林の情報),「制限林種」(保安林などの制限がかかっているかどうか)などが記載されている。ただし,森林法では,「森林所有者」とは,「権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し,及び育成することができる者」(同法2条2項)であるため,所有者を意味しないので留意する。⑵ 登記の効力 ここでは,不動産に係る登記が有する効力について概観する。 ⒜ 公示力 不動産登記は,物権変動(物権の設定及び移転)を示す公示方法である。もっとも,登記それ自体は,所有権移転の要件ではないとするのが判例(最判昭和42年12月15日集民89号415頁)である。所有権移転などの不動産の物権変動は,意思表示のみによって生じる(民法176条)。 ⒝ 対抗力 もっとも,それでは二重売買のように権利者と主張する者が複数現れる可能性があるため,法的にはかなり不安定である。この状態(物件変動に関する優先劣後)を決着するため,登記には対抗力が認められてい
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