第1節 所有権関係6) 北川清「登記簿による認定」伊藤眞・加藤新太郎編『[判例から学ぶ]民事事実認定』135頁(有斐閣,2006年)参照。7) 例えば,公有水面埋立法22条の規定による竣功認可書,官庁又は公署の証明書などである(不登準則71条1項)。8) 例えば,確認済証(建築基準法6条)及び検査済証(同法7条5項),建築請負人又は敷地所有者の証明情報,国有建物の払下げの契約に係る情報,固定資産税の納付証明に係る情報などがある。52 表題部における「所有者」と権利部における「所有者」では,所有者の推定を受けるための登記申請上の手続が異なる。 ⒜ 表題部の場合 所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に,所有者として記録されている者を「表題部所有者」という(不動産登記法2条10号)。 ① 土地表題登記申請の場合 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は,その所有権の取得の日から1か月以内に,表題登記を申請しなければならない(不動産登記法36条),当該登記の申請書には,所有権証明情報(☞第1章第4節)7)が添付情報とされている(不登令別表4添付情報欄ハ)。登記官は,所有権証明情報を調査・確認し,登記申請を受理するか否か決定する。 ② 建物表題登記申請の場合 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は,その所有権の取得の日から1か月以内に,表題登記を申請しなければならない(不動産登記法47条1項)が,当該登記の申請書には,建物の図面や各階の平面図の他,申請人の所有権証明情報(不登令別表12添付情報欄ハ)を添付する必要がある(不登準則87条1項)ところ,所有権証明情報8)は登記官が申請人の所有権を推認するための調査資料となる。そして,申請人から提出された所有権証明情報を登記官が調査・思に基づかずに行われたことなどを主張して反証活動を行うことになるが,この反証が成功しなかった場合には,原告が当該不動産の所有権を有していることが認められることになる。6)もっとも,登記簿上の現所有名義人は,前所有名義人から当該不動産の所有権を取得したと主張する場合には,前所有名義人に対し,登記の推定力を援用し得ない(最判昭和38年10月15日民集17巻11号1497頁)。
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