不証
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iはしがき 不動産をめぐる交渉・訴訟事件をより良い解決に導くには,不動産の経済価値を見極めるとともに,それに基づいて交渉・訴訟戦略を策定する必要がある。そして,いかなる資料を用意できるかによって,不動産の経済価値の判定結果は異なり,またそれに伴う戦略の内容も異なることになるから,一早く収集可能な資料の範囲を想定し,収集した資料を正しく読み解くことは弁護士業務における最重要の作業の一つといえる。 本書は,不動産訴訟の事件類型ごとに資料の収集及び分析の方法を解説したものである。訴訟を念頭に置いて執筆したが,書き上げたものを見返すと,資料の訴訟における使われ方についても触れているので,資料作成者である地方自治体の職員や不動産業者の方々にとっても有益ではないかと思われる。 前著となる『不動産鑑定と訴訟実務』(日本加除出版)も不動産事件を類型別に解説したものであるが,同著が訴訟実務における不動産の経済価値の判定方法を中心に扱ったものであるのに対し,本書は不動産訴訟において利用される資料の分析方法にスポットを当てたものであり,執筆の配列も資料を中心に据えている。本書で取り上げる資料は,いずれも法曹関係者ないし不動産業関係者にとってはいずれも馴染みがある一方,実務上その意味や成り立ち等について立ち入って議論されることが稀であるものばかりである。本書はこうした法曹関係者間等で一定の約束事(protocol)が成立してしまいがちな資料を,掘り下げて検討している。具体的には,不動産訴訟事件を7分野27類型に分け(なお各類型は場合によりレイヤー構造になり得る),それぞれに主要な要証事実を設定し,当該事実について証拠となり得る各種資料をピックアップした上で,これについて実務上問題になり得る点について解説している。また,イメージを掴めるように巻末に図面等の資料を豊富に載せている。 本書で伝えたいことは一言でいえば,各資料を解読するための考え方(algorithm)である。不動産に係る資料は広範であり時代によりその種類が変容するとともに,同じ資料であっても法令の目的の変容,作成者の違い,添付資料の増減,行政指導の有無及びその内容,それに資料作成技術の進歩なはしがき

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