不証
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57 他方,固定資産課税台帳とは,固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため,市町村に備えられる帳簿であり(地方税法380条1項),市町村長が作成するものである(同法381条1項)。13) それでは市町村長が全ての固定資産,とりわけ不動産についてその状況を一から調査を行うのかといえば,そのようなことはない。土地課税台帳及び家屋課税台帳は,登記簿に登記されている土地及び家屋について必要事項を登録した帳簿であり,登記簿上の所有名義人・地目・地積等がそのまま転載される(登記簿主義)。他方,土地補充課税台帳及び家屋補充課税台帳は,登記されていない土地及び家屋について必要事項を登録した帳簿である。つまり,原則として,登記されている不動産については,登記事項がそのまま固定資産課税台帳の内容になる。登記を転記することからすれば,当事者申請主義が間接的に採用されているといえる。 ところで,固定資産課税台帳は地番ごと又は家屋番号ごとに作成されており,所有者ごとにまとめられているわけではないため,固定資産の課税手続上,所有者(納税義務者)ごとにまとめられた名寄帳が必要になる。名寄帳によって,各納税義務者ごとの固定資産税の課税標準額の算定や免税点(地方税法351条)の判定が可能になる。3 固定資産課税台帳・名寄帳権主義は補充的に適用されることになる(鎌田=寺田4頁及び109頁参照)。13) 登記事項(所有者,地積など)が固定資産課税台帳に利用されるように,固定資産課税台帳の登録事項(登録価格)も他の制度に利用される。固定資産課税台帳に登録された価格については,登録免許税,不動産取得税の課税標準である不動産の価格とされている(登録免許税につき登録免許税法附則7条,同法施行令附則3項・4項,不動産取得税につき地方税法73条の21第1項本文)。❖固定資産課税台帳は,土地課税台帳,土地補充課税台帳,家屋課税台帳,家屋補充課税台帳,そして償却資産課税台帳の5種類からなる(地方税法341条9号ないし14号)。また市町村は,固定資産課税台帳の他に,土地及び家屋について,土地名寄帳及び家屋名寄帳を備えなければならない(同法387条)とされている。

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