不証
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594 所有不動産記録証明書義務化された(不動産登記法76条の2。施行日は令和6年4月1日)。これに伴い,所有不動産記録証明制度が新設された(同法119条の2)。これは,特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化して証明するものである。これにより,相続人が被相続人名義の不動産を把握しやすくなり,相続登記の手続的負担が軽減されるとともに,登記漏れを防止する効果が期待できる。 改正不動産登記法の公布日(令和3年4月28日)から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される(政令は現時点で未制定)。⑵ 証明書の交付 これまでは全国の不動産から特定の者が所有権の登記名義人となっているものを網羅的に抽出し,その結果を公開する仕組みはなかった(市町村単位で名寄帳があるにすぎなかった)。所有不動産記録証明制度によって,何人も自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について証明書の交付を請求することができる(不動産登記法119条の2第1項)。また,被相続人その他の被承継人に係る証明書については相続人その他の一般承継人が交付を請求できる(同条2項)。また,そのような不動産がない場合には,その旨の証明書も交付される(同法119条の2第1項括弧書)。このような証明書は,自然人に限らず,法人でも交付請求できるため,不動産取引における活用も期待できる。

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