外在
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8の使用に供されるようになってから,入管法が大量の出入(帰)国者及び在留者に対応し,出入国在留管理行政の円滑な執行ということが相対的に重要性を増してきている。国家の限られた人的・物的資源のなかにおいてかかる目的を効率的に達成するためには,過去に生じた事象からある程度定型化し,規制方法及び内容そのものを合理化していくことは,やむを得ないことであると同時に,当然のことなのである。実際,近代立憲主義国家であり民主主義国家でもある主要先進国を含む多くの国々において,さらに,欧州連合のような超国家的機関においても,そのような対応が採られていることは周知の事実である。特定の国・地域の出身者に対する査証免除措置はその筆頭としてあげることのできる典型例の一つである。そのほか,例えば,ドイツ連邦共和国では,憲法改正により新設された基本法(事実上の憲法)16a条において,安全な第三国経由で入国した難民認定申請者に対しては難民認定審査手続を行わずに即時退去強制をもって臨み,安全な国の出身者に対する難民認定申請の審査を大幅に簡略化することを定め,立法によりこれを具体化している。かかる憲法改正は合憲である旨の連邦憲法裁判所の確定判決も存在する。 以上のとおり,外国人の国籍・地域による出入国在留管理行政上の対応の差異は,多くの国・地域において一般的な対応であり,このような差異を否定した場合,健全な出入国在留管理行政は逆に不可能となる。 なお,この点に関して特に強調すべきことは,国・地域に対するこのような評価が優劣(垂直的関係)の評価ではなく,単なる差異(水平的関係)の評価に過ぎないということ,さらに,事情の変更により,この評価自体が変化するものであり,以上の差異(区別)が必ずしも固定的であるわけではないということである。この点は,どのような立場であれ,外国人の各種申請に関与する者として忘れてはならないことである。⑸ 規則に定める立証資料の意義 外国人が本邦での入国・在留を許可されるためには,その本邦において行おうとする活動が在留資格に対応する活動に該当することから始まり,外国第1章 在留資格の認定要件と立証資料

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