ジェ視
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7性メンバーに対する名誉毀損や、「ニュース女子」事案をあげることができる。 「女性に対する攻撃的な言動の多くは、声を上げる女性の社会的信用を傷つけるが、それにとどまらず、女性蔑視、女性差別を内容とするものであったり、容姿をあげつらうなど、明らかにジェンダーにもとづく侮辱を含むものが多い。大量かつ執拗な人格攻撃、誹謗中傷は、女性の尊厳や自尊心を傷つけ、極めて深刻な精神的ダメージや恐怖を与え、意図していた表現行為や社会運動への継続を困難にさせるだけでなく、社会生活そのものを困難にさせるという点でその影響は深刻である。」(本文より) 女性に対する名誉毀損にとどまらず「シティズンシップ」を奪うものである。6 反ヘイトスピーチに関する初の複合差別認容判決 「複数の差別が交差複合する複雑な差別構造を生きることを余儀なくされている、マイノリティ女性に対する卑劣きわまりない人権侵害を、裁判所が初めて複合差別と認定、救済したことの意義は非常に大きい。国際人権法学的には、日本が批准した人権条約に明文の規定がない複合差別の概念を、裁判所が受け入れたことは画期的である。」(【6】本文より) 「在特会」のヘイトスピーチは、在日朝鮮人・韓国人を日本社会から排除することを目的としている。在日朝鮮人・韓国人に対するヘイトスピーチに反対する表現活動を行っていた原告が表現活動を継続することを困難にさせるものであり、シティズンシップを剥奪する目的で行われていた。 性差別にも「インターセクショナル」な視点が必要である。「女性」と「人種(民族)」という2つの差別の「足し算」ではなく、「在日朝鮮人・韓国人女性」としての差別を経験するのである。 本件は、人種(民族)差別と女性差別との複合差別により深刻な被害を受けた「在日朝鮮人・韓国人女性」のシティズンシップの問題として捉えることができよう。(小島妙子)総論

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