ジェ視
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i ジェンダー法学会は、2003年12月、「『司法におけるジェンダー・バイアス』の克服をめざすとともに、ジェンダー法学教育の普及に努め、学際的な研究協力をふまえて法学という学問分野全体に『ジェンダー視点(ジェンダー・パースペクティブ)』が貫かれるために努力」することを目的に設立された(ジェンダー法学会HP「ジェンダー法学会の紹介」より)。 2012年、約10年の学会活動に基づき、ジェンダー法学会設立10周年記念出版として『講座ジェンダーと法』全4巻を日本加除出版のご協力の下、刊行することができた。そこでは、ジェンダー法学の体系化と実務上の課題の共有化を目指した。 このたびジェンダー法学会設立20周年を迎えるに当たり、「司法におけるジェンダー・バイアス」を克服し、ジェンダー差別をなくしていくための活動成果を広く共有し、今後につなげていきたいという思いを込めて、本書を企画した。 日本のジェンダー法学は理論研究だけではなく、さまざまな裁判を通じて実践的な研究を積み重ねることによって展開してきた。ジェンダー平等を実現する方向で高い意義を有する判例もあれば、現状を追認する判例もある。後者は日本社会のジェンダー不平等(例えば、2023年のジェンダーギャップ指数125位)を克服する法的視点の欠如を露呈している。しかし、それぞれの裁判例には、日本社会の現実に対峙し、ジェンダー平等に向けて道を切り拓こうとする当事者、弁護士、研究者、市民の思いが込められている。こうした思いに寄り添い、ジェンダーの視点から法的論点を発見し、それにふさわしい解釈や理論を持続的に追求することは、当学会の重要な役割である。 したがって、本書は通常の判例研究や判例批評と構成を異にする。この20年間の①性差別と人権、②家族、③セクシュアリティ、④暴力・性暴力、⑤リプロダクティブ・ヘルス/ライツと生殖補助医療、⑥社会保障・税・逸失利益、⑦労働の7分野、40の論点を取り上げて、⑴当事者は何刊行にあたって刊行にあたって

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