第22節5第1章 高齢なマンション居住者のための民事信託の活用について第2節 マンション居住・管理を取り巻く長期的動向 〜高齢化・長寿化の進行によるパラダイムシフト〜照)。特に,築年数が40年前後経過した高経年マンションでは,居住する 都市部に立地するマンションでは,建物の高経年化と居住する区分所有者の高齢化が同時に進行している。総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」によると,東京都区部のマンションは,築年数が経過しているほど,居住する区分所有者の高齢化が進む傾向が顕著に現れている(302頁参区分所有者に占める65歳以上の割合が,推定で60%を超える高い水準となっている。また,国土交通省の推計によると,現存するマンションストックの築年数の経過に伴い,2020年から2040年の間に築40年を超えるマンションが約300万戸増加するなど,高経年マンションストックが加速的に増加すると予測されている(299頁参照)。 一般に,都市部に立地するマンションは,買い物や交通の便が比較的良好であり,住戸の広さ・間取りがコンパクトで清掃や戸締りなどが行いやすい。また,建物の構造が堅固で,一定の耐震安全性や気密性・断熱性があり,老後も暮らしやすく,自立した住生活を送りやすい住まいである。マンションにはこうしたメリットがあり,特に近年は居住する区分所有者の永住意識が急速に高くなっている。 国土交通省「平成30年度マンション総合調査」によると,マンションに居住する区分所有者のうち,「永住するつもりである」と答えた人の割合は,1980年度の調査では21.7%であったが,その後増加が続き2018年度には62.8%と過去最高となっている(305頁参照)。また,区分所有者の永住意識は,年齢が高いほど高くなり,取得(入居)時期が古いほど高くなる傾向が見られる(305頁参照)。マンション居住・管理を取り巻く長期的動向~高齢化・長寿化の進行によるパラダイムシフト~ 1 高経年マンションの増加・居住者の高齢化の同時的進行 2 マンション居住者の永住意識の高まり
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