マン民
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第1 福祉型の信託会社設立の発端第22節受託者としての福祉型信託会社第5章民事信託において適切な受託者がいない場合の対応199第1 福祉型の信託会社設立の発端 令和4年7月「ふくし信託株式会社」が財務局より第21号をもって登録済となった。この会社は将来的には本書のテーマであるマンション居住者のための支援信託についても取り扱うこともあるだろう。 ふくし信託株式会社が設立された背景と期待する役割について記述する。⑴ 信託業法及び信託法改正 平成16年には信託業法が82年振りに,平成18年には信託法が84年振りに大改正された。その信託業法及び信託法改正の時に,衆参両議院の附帯決議に「高齢者や障害者の生活を支援する福祉型の信託については,特にきめ細やかな支援の必要性が指摘されていることにも留意しつつ,その担い手として弁護士,社会福祉法人等の参入の取扱いなどを含め,幅広い観点から検討を行うこと」等の決議がなされた。その附帯決議を求めるべくして,成年後見法学会,成年後見センター・リーガルサポート,日本司法書士会連合会(以下,「日司連」という。),日本司法書士政治連盟の役員が,衆参両議院の議員のうち,司法書士制度推進議員連盟の中心として活躍している議員に対して陳情活動を行い,その結果,「福祉型の信託」という言葉を入れてもらった経緯がある。その附帯決議の実現のため,翌年9月,日司連において,「信託法チーム」を結成された。これが福祉型に特化した信託会社設立への端緒であったのであろう。⑵ 金融庁での動き 平成18年10月,金融庁は,附帯決議を受けて株式会社以外の新たな担い手としての参入の要否を含め,いわゆる福祉型の信託について検討を開始し,同年11月~12月にかけて,大学教授,日本弁護士連合会,日司連,信 1 背 景

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