マン民
8/70

はしがきることが重要な課題になるものと考えられる。 本書の執筆母体となったマンション支援信託推進委員会は,こうした課題解決に資するべく,一般社団法人民事信託推進センターの会員で構成する委員会として,活動を開始した。一般社団法人民事信託推進センターは,平成23(2011)年9月の設立以来,信託実務の調査・研究,研修等を通じて,後見・相続・事業承継等の支援,並びに地域のまちづくり等,国民の権利と環境の保護などに信託制度が幅広く活用されることを目的として活動している団体である。 マンション支援信託推進委員会は,高齢化の進行などの理由により管理組合の担い手不足が生じ,総会や理事会の運営が困難化している高経年マンションの現状を鑑み,個人財産と共有財産の長期的な管理問題の解決に資することを目的として,建物の区分所有等に関する法律,マンションの管理の適正化の推進に関する法律,マンションの建替え等の円滑化に関する法律,マンション標準管理規約等の関係法令に則り,同時に,民事信託の有効活用を研究し,具体的な相談や支援に関する活動を行っている。 本書においては,必ずしもすべての事案について信託を強制するものではなく,それぞれの状況に合わせて,高齢居住者の問題点を総合的に分析し,よりよい方法を導くための実務書として,事案ごとの分析,判断を施し,登記手続等も網羅した。また,マンションの信託契約,マンション管理規約の作成・変更に関しても具体的に解説することを心掛けた。Q&Aや,解説付き条項例,信託登記記載例などで具体的に解説したことで,実務に資する内容になったと自負しているが,十分だったかは今後の叱正を待ちたいと思う。 本書が高経年マンションの増加や居住者の高齢化に関し,実務家が対応する際の一助となり,少しでも今後の健全な住環境,社会に寄与することができれば望外の喜びである。 最後に,本書の刊行にあたり,日本加除出版の佐伯寧紀氏,鶴崎清香氏iv

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る