財清
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章1不在者財産管理人2 第 1 章 不在者財産管理人【財産管理事務の指針】 不在者財産管理人の職務は、申立人等、利害関係のある者の利益のためではなく、自分では財産を管理することができない不在者の財産を、不在者に代わって管理・保全することを目的とするものです。不在者財産管理人は、不在者にその財産を引き継ぐまで、家庭裁判所の一般的監督のもとに、善良なる管理者の注意をもって財産を継続して管理することになります。 そのような不在者財産管理人の適正な職務遂行を実現するために、財産管理人選任審判の申立人、財産管理人候補者、家庭裁判所などの関係人が留意すべき事項がいくつかあります。1 不在者財産管理人選任の目的を認識しましょう。 不在者財産管理人選任を必要とする場面として、不在者が共同相続人の一人である場合の遺産分割や、公共事業に伴う不動産の処分、あるいは災害等で行方不明となった扶養者の財産から被扶養者の生活費をねん出するなど、そのほとんどが不在者以外の者の権利擁護や公共の利益実現を目的とするものです。しかし、不在者財産管理人選任の本来の目的は不在者の財産権保護なのですから、関係人は不在者の目から見た財産管理を意識する必要があります。2 家庭裁判所と不在者財産管理人との間で認識を共通にしましょう。 不在者財産管理人が適正な職務を行うためには、具体的なケースごとに、財産の内容、今後必要とされる職務(遺産分割や不在者の財産の処分など)について家庭裁判所と共通認識を持ち、実効性のあるスケジュールを立てることが重要です。家庭裁判所が後見的な立場で適時適切な指導監督を行うためにも、双方が認識を共通にする機会が必要です。 具体的には、裁判官あるいは裁判所書記官は、財産管理人選任審第

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