財清
28/58

東京地判昭和56年10月23日(家月35巻6号126頁)6 第 1 章 不在者財産管理人【視 点】 不在者財産管理の制度は基本的に不在者本人の利益を保護するための制度であるため、不在者の財産の維持・保存が中心的業務となる。財産管理の主たる目的を相続財産の清算とする相続財産清算の制度とは異なるとの視点をもつことが大切である。もっとも、不在者財産管理人の選任申立ての目的等によっては、不在者の財産の処分が必要となる場面もあるが、その際には上記視点から処分の必要性及び相当性を検討し、家庭裁判所の権限外行為許可を得て進めることが大切である。裁判例1 「不在者の財産管理制度は、従来の住所または居所を去つて容易に帰来する見込みのない者(不在者)が従来の住所または居所に財産を放置し、財産の管理人を置かなかつたかあるいは置いても本人の不在中にその権限が消滅した場合に、不在者の残務を整理し、もつて本人の利益のみならず同人の相続人・債権者など利害関係人の利益を保護するため、法が設けた利益制度である。」⑵ 不在者財産管理の意義 不在者の財産管理とは、不在者がその財産の管理人を置かなかった場合、又は不在中に財産管理人の権限が消滅した場合に、家庭裁判所が利害関係人又は検察官の請求によって管理人を選任し、家庭裁判所の後見的監督の下で、管理人をして不在者の財産の管理・保存に当たらせる制度(民25条から29条)である。⑶ 制度趣旨 不在者財産管理の制度は、不在者の財産が放置されて散逸することによって受ける不在者の損失を防止し、不在者の財産を保存するものである。そして、相続人、債権者、その他の利害関係人を保護し、ひいては、国家の利益ないし国民経済上の利益を保護する趣旨も含まれている(『財産管理・諸問題』117頁参照)。

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る