2 令和3年法改正について 137家庭裁判所において相続財産清算人選任(①)及び相続人捜索の公告(③)を遅滞なく行うこととされた(民法952条2項。なお、相続人捜索の公告期間は、従前同様6か月を下ることができないとされている。)。また、①及び③の公告があったときは、相続財産清算人において全ての相続債権者及び受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて、その期間内に請求申出をすべき旨を公告しなければならないものとされ、かつ、この場合における期間は相続人捜索の公告の期間が終了するまでに満了するものでなければならないものとされた(改正後の民法957条1項)。 この改正により、権利関係の確定に要する期間は最低でも合計10か月を要していたものが最短で6か月に短縮されることとなった。 なお、「相続権主張の催告の公告」のことを、実務上は「相続人捜索の公告」と呼ぶことが多いため、本書では、そのような表記をすることがある。4 所有者不明土地管理制度の新設 従前、所有者の相続人が不分明な不動産のみの管理が必要な場合であっても、相続財産管理人を選任すると、当該管理人は相続財産全般を管理し、清算することとされていた。 このため、特定の財産についてのみ管理・処分が必要な場合であっても、財産全般を管理・清算することを前提とした事務作業や費用等の負担を強いられる上、管理・処分を終えるまでにも時間を要するという指摘がされていた。 こうした点を踏まえ、令和3年法改正により、所有者の相続人が不分明である場合などにおいて、特定の不動産のみの管理が必要な場合には、所有者不明土地管理人(民264条の2)又は所有者不明建物管理人(民264条の8)による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令・所有者不明建物管理命令)をすることができるものとされた。 そして、所有者不明土地管理人・所有者不明建物管理人が選任された場合には、対象とされた土地・建物等の管理・処分権は、同管理人に専属するものとされた(民264条の3第1項、264条の8第5項)。このため、当該土地・建物の所有者につき、相続財産清算人が選任されても、相続財産清算人は、当該土地・建物についての管理・処分権を有しないこととなる。
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