商完
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第Ⅰ部完全オンライン申請の概要◦現状と本書の狙い1 申請情報・添付情報:正確には,申請書情報(商登規102条1項)・添付書面情報(同条2項)という表現ですが,本書では分かりやすさを優先して,オンライン申請上の申請書を「申請情報」,添付書面を「添付情報」といいます。2 法務省HPでは「添付書面情報(定款,発起人の同意書,就任承諾書等)が全て電磁的記録(PDFファイル)により作成され,申請書情報と併せて送信されていること(完全オンライン申請)」と定義されています。2.商業登記の完全オンライン申請(デジタル完結)とは本人申請(会社自身や会社を設立する個人による申請)においては書面申請が,代理申請(司法書士や弁護士による申請)においては別送方式での申請が,多勢を占めています3。商業登記の完全オンライン申請について,法務省は「制度上はオンラインで完結することが可能であるものの,各種添付書類(取締役会議事録や就任承諾書等)の電子化の状況が十分ではないなどの理由により,オンライン完結が進んでいない現状である」(オンライン利用率引上げに係る基本計画(令和4年6月17日))と分析しています。この「添付書類の電子化」というハードルをクリアして,完全オンライン申請の普及へ貢献することが本書の狙いです。◦本書の射程本書は,商業登記の完全オンライン申請と周辺業務について,専門領域とする司法書士が,その概要から準備・実践まで,実務に沿って各プロセスを詳述し,本人申請・代理申請のどちらの場合であっても,書面申請・別送方式から完全オンライン申請への移行を実現することを主たる射程として,構成しています。一方で,商業登記の申請自体を初めて試みる本人・代理人であっても,デジタル完結させるための準備を進められるように,平易・簡潔な記述を心掛けました。  法務省「完全オンライン申請による法人設立登記の『24時間以内処理』について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00006.html)より引用3 やや古い情報ですが,法務省資料では,2017年11月時点で,商業登記(役員変更登記)の,代理人申請のオンライン申請率(別送方式も含む)は81.9%であるのに対して,本人申請のオンライン申請率はわずか1.1%と示されています(典拠:法務省「規制改革推進会議行政手続部会取りまとめに基づく基本計画について」(https://www.moj.go.jp/hisho/shomu/hisho01_00210.html))。5

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