13シーン2 2012年3月2日ホームロイヤー相談 任意後見制度は、十分な判断能力がある時点で、自分が将来、認知症などで判断能力が低下した後の後見人を、あらかじめ契約で決めておく制度である。自分がこの人に託したいと考える人を後見人に選ぶことができ、どれくらいの費用で何を頼むかもあらかじめ決めておくことができる。 急速な少子高齢化や核家族化の進展によって、親族であっても、なかなかお互いに関わりを持たない家族が増えている。家庭に関する価値観が多様化し、「おひとりさま」は今や当たり前の存在である。そのほかにも、子どもを産まないという選択をした夫婦や、離婚をして子供と疎遠である等の家庭の事情等から、老後を、できるだけ親族に頼らないで自立したいと考える人が増えている。 おひとりさまにとって、任意後見契約やその周辺のサービスを利用することで、自分にとってのライフプランを自分で立て、必要な時に必要な支援を受けられるよう備えておくことは、老いを生きる不安を解消するために必要なことである。法定後見は、判断能力が低下した後しか利用できず、家庭裁判所が選んだ後見人等に画一的に権限が付与されるが、任意後見制度は私人間の契約を基礎にする制度であるため、かなり柔軟に、本人の希望や思いを書き込み、様々な契約やサービスと組み合わせることができ、自分らしい人生の最後のあり方を自分で決めておきたいという高齢者の思いに沿うことができる。 任意後見契約と、よく一緒に使われる制度としては以下のようなものがある。このストーリーでは、海辺弁護士は、花野ちえさんに、任意後見契約と下記の制度を組み合わせて、今後安心して暮らせるライフプランを立てることを勧めている。●見守り契約・緊急時対応契約 任意後見契約は、本人の判断能力低下後に、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから効力が生じる。一方、おひとりさまの高齢者の場合、まだ判■ 緊急時対応契約 → 第2編第3章「見守り契約・緊急時対応契約」(179頁)、第3編Q2「見守りの必要性・工夫」(314頁)、Q3「緊急入院に関する支援」(317頁)■ 公正証書遺言 → 第2編第7章「遺言とホームロイヤー」(221頁)任意後見制度と一緒に利用すべき制度について
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