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140第2編 基礎知識編⑴ 自己決定権の尊重② 財産管理を必要とする場合の任意代理・民事信託③ 判断能力が減退・喪失した場合の任意後見④ 財産承継のための遺言・信託・死後事務委任 これら①から④に至る段階的な対応が、シニアにとって安心して自分の財産等を任せられる契機となる。 超高齢社会において弁護士が果たすべき役割は、増大するシニアが巻き込まれる犯罪や紛争を個別に解決するだけでなく、シニアが自律的生活を行うために、長期かつ生活全般の準備を支援し、シニアの権利擁護を行うことである。 シニアの権利擁護とは、憲法13条の個人の尊重と幸福追求権を確保する具体的支援と、それを可能とする物的・人的両面からのアクセシブルデザインの整備である。すなわち、必要かつ適切な医療介護サービス、財産管理、年金申請、居住の確保、就労支援、社会参加など生活支援全般とその基盤整備にある。しかし、膨大なシニアニーズである、財産管理・運用、身上保護・権利擁護の双方において、十分なサービス提供体制が未整備である。弁護士は、これらの支援を福祉的側面から捉えるだけでなく、本業として対応できる仕組みを構築し実践していくべきである。 シニアの権利擁護のための基本理念は、①自己決定権の尊重、②現有能力の活用、③ノーマライゼーションである。 2000年来、介護保険と成年後見が車の両輪とされ、超高齢社会の支援の仕組みとされたが、その中で、シニアは主体ではなく、客体として取り扱われてきた。シニアは客体かつ対象者であり、決して、自己決定を行う主体者ではなかったといえよう。 例えば、サービス付き高齢者向け住宅内で暮らすシニアは、日中、デイサービスを受ける広場に集合している。施設内では、安全性を確保するため、ヘルパーの目が届く空間内にいる必要がある。シニア本人は、自室で、2 弁護士の役割3 シニアの権利擁護とその支援

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