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⑵ 現有能力の活用⑶ ノーマライゼーション141第1章 ホームロイヤー総論趣味である音楽鑑賞や読書などで日常を過ごすことは困難となっている。 それゆえ、シニアを支援するにあたっては、シニアが主体となり、シニアの意思を十分に尊重する視点が重要である。そのためにシニア自身に情報取得の機会と本人の意思決定を支援する者が必要となる。 シニアの就労・社会参加に対する支援は、シニアの現有能力を活用するとともに、日本社会における就業人口を確保する意義を有する。また、シニアが自律的生活を送るためには、今日行く場所(教育)と今日の用事(教養)を作り出す支援が重要となる。 そして、弁護士は、シニア期を生きる市民のリーガルリテラシーを教養として高めるために、社会保障制度や法律の中で生きる知識として「高齢者法」を学び、その普及に努めるべきである。 高齢となれば、若いころと同じ生活を営むことが困難となる。しかし、シニアであっても地域で普通の生活を営めることが望ましい。 例えば、病院への通院も高齢となると負担となる。医療へのアクセスもオンライン化が進められているが、そもそも、シニア自身だけでは、情報通信機器を十分に操作することが困難である。このような場合に、シニアをサポートする介在者の支援により、オンライン診療が可能となる。 このように、シニアが地域社会で普通に暮らすために、様々な壁を取り除く支援が求められている。現状コロナ禍で暮らすシニアにとって、「社会の壁」とは、あまりに早い情報技術の進展であり、社会の仕組みの容赦ない変遷である。 デジタルデバイド(情報格差)、すなわちITを使いこなせる人とそうでない人の間に生じる機会の格差をなくすことが求められる。弁護士もまた、情報通信機器に疎いシニアが情報社会から取り残されないように、オンラインツールを用いた相談ができるよう支援すべきである。

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