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iはしがき 日本では、急速な少子高齢化や核家族化の進展によって、親族であっても、なかなかお互いに関わりを持たない家族が増えている。家庭に関する価値観が多様化し、生涯独身で働き続ける「おひとりさま」はめずらしい存在ではない。他にも、子どもを産まないという選択をした夫婦や、離婚をした後に子どもと疎遠になってしまうなど、老後は「おひとりさま」にならざるを得ないケースも数多く存在している。 そのような中で、従来であれば家族が担ってきたインフォーマルな支援(日常的な金銭管理、通院や入院の付き添い、医療同意、介護サービスの選択の援助、身元保証、葬儀、死後の片付け等)が受けられず、生活面で様々な困難を抱えている高齢者が増え続けている。高齢者や障害者の介護や医療の現場でも、本来のサービス提供以外の支援に困難を来している例が、多く見られている。 しかしそんな時代だからこそ、現役を引退した後、人生100年の長い期間の中で、認知症となり判断能力が失われてしまった場合の対応策の一つとして、自らの意思を活かす任意後見制度の重要性は増している。判断能力が低下したときに、法定後見制度によって知らない誰かに「管理」されるのではなく、本人がまだ元気なうちに、信頼できる専門職と任意後見契約やその周辺のサービスに契約しておくことで、自分にとってのライフプランを立て、必要な時に必要な支援を受け、主体的に自分に必要な医療、福祉、住まい、生活を選択できるようになるということは、安心して老後を送るために非常に重要なことの一つである。 ただ、これまで、弁護士は法定後見制度への取り組みが中心ではしがき

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