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第2高齢者とホームロイヤーについて相談する時に、注意すべきこと第2 例えば、耳が聞こえづらくなったAさん(94歳)からの相談の際に留意すべき点を考える。 自己決定支援のために弁護士がAさんのホームロイヤーとなるには、高齢者・障害者の特性に対する理解が必須である。 WHOの聴力障害基準に従うと、難聴の有病率は、65歳以上で急増するとされている(内田育恵ら「全国高齢難聴者数推定と10年後の年齢別難聴発症率─老化に関する長期縦断疫学研究(NILS─LSA)より」日本老年医学会雑誌49巻2号222頁)。 Aさんは、しっかりした方だが、加齢により難聴を有するので、相談の際、大きな声を出さないと、回答した内容が届かない。そこで、事務所での相談時には大モニターを、オンラインでの相談時にはタブレット等を使い、相談内容に対し、確認事項や回答内容を打ち込み映すことで、説明・理解を得られるようになり、積極的にコミュニケーションをとれるようになった。打合せ後には、打合せ時に打ち込んだ確認事項や回答内容を利用することで、打合せ内容をすぐに書面化でき、口頭でのやり取りだけでは、曖昧さを残してしまう打合せ内容をすぐ再現することもできるようになった。 このような相談の際の留意点を記載したのは、高齢者支援にあたっては、特に、本人のプライドを損なうことのない意思決定支援への配慮が重要であり、かつ書面化により、事後においても確認が容易となることを認識してほしかったからである。 ホームロイヤーは、Aさんの生活全般に関わる幅広いニーズに応えなければならない。弁護士として行ってきた様々な分野の業務が、ホームロイヤーとして高齢者ニーズに応えることにつながる。310第3編 Q&A編自己決定について準備をしてこなかった方々のラストリゾート(最後の拠り所)であって、本人の「意思」に、いわば公的権力が介入する仕組みとも言える。

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