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第3任意後見契約とは別に、ホームロイヤー契約を締結するメリット第3 「任意後見契約」とは、本人が、十分な判断能力を有する段階において、任意後見受任者に対し、事理を弁識する能力が不十分な状況になった場合における本人の生活、療養看護及び財産管理に関する事務を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約である(任意後見法2条1号)。時間軸として、任意後見契約が発効し、任意後見人が活動を始める段階は、本人の事理を弁識する能力が不十分な状況になった時に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、審判が決定した時からとなる(任意後見法2条1号、4条1項)。 そうすると任意後見監督人選任審判前の段階では、任意後見受任者は任意後見予定者にすぎず、何か本人に対する支援を行おうとすると、別途、本人との間において、本人の生活、療養看護及び財産管理に関する事務に関する任意の委任契約を締結することが必要となる。また、任意後見契約の本人が死亡した場合も、同契約の終了事由であるから、本人死後の遺品整理事務などは任意後見人の権限外となる。 ホームロイヤー契約は、一種の包括的な基本契約であり、任意後見契約の発効前の財産管理等の事務や死後事務委任契約をも包含し、本人の判断能力が減衰するしないにかかわらず、本人の自己決定を支援する契約なのである。 例えば、本人に判断能力がある段階であっても、本人が独り身であったとき、病院での手術が必要な際に、同行して説明を聞くことや手術の際に同行するなどの支援が必要となるところ、ホームロイヤー契約を締結しておけば、いつでも本人から依頼を受けて同行支援し、見守りや身元保証と実質的には同等の役割を果たすことができる。また、いずれ施設に入って自宅を売却したいが、その間のいろいろな契約等を一人で行うのは心配なので、専門家である弁護士に個人顧問として助言をしてもらいたいという場合も、任意後見契約とは別にホームロイヤー契約を締結するメリットがある。 さらに、いつでも本人のニーズに合わせて、必要なサービスを提供する契約を結べるということも、ホームロイヤー契約のメリットである。例え311Q1 ホームロイヤー契約とは

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