第21 共同所有の形態⑴ 共有・総有・合有6第1章 共有不動産の法律関係と共有不動産関係訴訟ア 共 有イ 総 有 共有は,一つの物を複数人で所有する状態をいい,数人が共同して取得した物,共同相続財産,建物の区分所有,権利能力なき社団の所有財産,組合財産,夫婦の取得財産などの場合に生じる。 共有については,民法249条以下で規定している。民法の想定している共有は,その原則形態であり,各共有者が持分を有するとされる。所有権は,包括的・全面的支配権であり,単独所有が原則形態であると考えられているが,共同所有も可能であり,その持分は譲渡可能で,共有の解消を求める(共有物分割請求)ことができるなどとされている。 しかし,複数人による物の所有形態には,上記民法の規定をそのままには適用できないものもあり,「総有」といわれるものや,「合有」といわれるものなどがある。 古来,村落共同体は,共同体を構成する村民が一体として団体を構成し,村落共同体の所有する土地については,その管理・処分権は共同体に帰属し,共同体の構成員である村民は収益権能だけを有するものとされ,村落構成員は村落住民としての地位を有する限りにおいて上記収益権能を有するが,村落住民としての資格を喪失した場合には,同収益権能を失うとの法律関係で規律されていたとされている。 それぞれの村落共同体の実態に即して,いろいろな共同所有形態があり得るが,多くは,団体構成員は自己の資格(権能)の譲渡もできず,財産の分割請求権もないもので,結局,実質は共有持分権を有しないと共有不動産の法律関係概説
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