共有
41/84

7ウ 合有(総手的共有)第2 共有不動産の法律関係概説もいえる。 このような共同所有形態は「総有」といわれている。 近代的な所有概念の浸透に伴い,村落共同体所有の多くは,通常の共有に近いものに変化してきていると思われるが,なお,上記の総有形態と思われるものは残存しており,入会権,水利権,温泉権,漁業権,共有墓地,権利能力なき社団の財産等について問題となることがある。比較的事例の多い権利能力なき社団について,項を改めて解説する。 一つの物を複数人で所有するが,その所有について一定の目的があるなどして,持分の譲渡や共有の解消を求めること(共有物分割請求)が制限される場合がある。 この所有形態では,それぞれの法律関係に即してどのような共同所有形態かを論ずる必要があるが,一般的には,潜在的には持分を有し,共同所有の目的が達成されれば,通常の共有に移行するし,合有関係が消滅する場合には持分に基づく清算がされることになるとされている。比喩的には,通常の共有と総有の中間的法律関係ともいえ,「合有」,「総手的共有」といわれる。 合有が問題となるものとして,信託財産,組合財産,相続財産等があるが,項を改めて解説する。⑵ 権利能力なき社団の財産 ア 法人格はないが,社団としての実態があるものが存在し,これを権利能力なき社団という。例えば,町内会,自治会,同窓会,会員制ゴルフクラブ等がこれに該当する場合がある。 イ 権利能力なき社団等について,民事訴訟法29条は,「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは,その名において訴え,又は訴えられることができる。」として,当事者能力を認めている。同条と実質的に同じ定めをしていた平成8年法律第109号による改正前の民事訴訟法46条についての最一小判昭和39年10月15日民集18巻8号1671頁は,「法人格を有しない社団すなわち権利能力のない社団については,民訴46条がこれについて規定するほか実定法上何ら明文がない

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る