共有
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8第1章 共有不動産の法律関係と共有不動産関係訴訟けれども,権利能力のない社団といいうるためには,団体としての組織をそなえ,そこには多数決の原則が行なわれ,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,しかしてその組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならないのである。しかして,このような権利能力のない社団の資産は構成員に総有的に帰属する。」と判示し,最二小判平成14年6月7日民集56巻5号899頁,最三小判令和4年4月12日裁判集民267号41頁も上記昭和39年最判を引用して,同旨の判断をしている。 ウ 民法には,権利能力なき社団についての規定はないが,上記最判の判旨によれば,それぞれの社団の実態により考えることとなろうが,原則的には,その財産の所有形態は,総有であり,団体構成員は,団体的拘束を受けることにより財産に対する持分を有せず,これの譲渡をすることや,持分に基づく分割請求はできないこととなる。 エ なお,権利能力なき社団は,法人格がないので,その不動産の公示方法としては,次の認可地縁団体等の場合を除き,構成員全員名で共有登記をするか代表者名で登記するしか方法がない。⑶ 認可地縁団体の財産 ア 上記⑵エ記載のとおり,権利能力なき社団は,法人格がないので,その不動産の公示方法としては,構成員全員名で共有登記をするか代表者名で登記するしか方法がなく,構成員全員名で登記する場合には,その数が多数となったり,相続の際に持分移転登記が漏れたりし,また,代表者名で登記した場合には,その個人財産との分別が困難となり,相続登記をされて,他に名義移転されるなどの問題が生じており,登記名義を実態に反映させる方策の必要性が生じていた。 イ そこで,平成3年に地方自治法が改正され(平成3年法律第24号,同年4月2日施行),自治会・町内会等の地縁による団体について,一定の要件を満たし,市町村長の認可を受けたもの(認可地縁団体)に法人格を付与し,権利義務の主体となり,その名義で登記等ができることなどが認められた。 認可地縁団体の要件は地方自治法260条の2に定められているが,区

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