共有
43/84

9第2 共有不動産の法律関係概説域内に住所を有するすべての個人が構成員となることができること,地域的な共同活動を行うことを目的とすることを要するので,性別や年齢などの条件を構成員資格としている団体や活動の目的が特定されている団体など,例えば,育成会,婦人会,スポーツ少年団,地区芸能保存会等は,認可地縁団体として認められないことになる。 ウ 認可地縁団体は,株式会社などのように法人としての登記をすることを求められておらず,認可をした市町村長による告示により公示することとなるが,その名義で不動産登記ができ,印鑑登録もできる。他方で,法人税法等の適用を受け,収益事業を行う場合には課税されることがある。 エ 平成3年の地方自治法改正による法人化が可能となった後も,法人化する前の構成者全員の共有登記がされるなどした状態にある認可地縁団体が少なくなく,認可地縁団体となって法人化しても,構成員の中には所在不明や,数次相続が発生しているのに昔の被相続人名義のままのものなどが存在し,認可地縁団体名義に登記をすることが著しく困難な場合が少なくなかった。 そのため,平成26年に地方自治法が改正され(平成26年法律第42号,平成27年4月1日施行),認可地縁団体が10年以上所有(占有)していた不動産であって,登記名義人やその相続人のすべて又は一部の所在が知れないなどの場合,公告など一定の手続を経ることで,通常の所有権移転登記手続を行うことなく,認可地縁団体への所有権移転登記をできるようにする特例制度が設けられた(地方自治法260条の46,47)。 以上アからエまでにつき,山野目・後藤『認可地縁団体・記名共有地』参照。⑷ 信託財産 信託法79条は,「受託者が二人以上ある信託においては,信託財産は,その合有とする。」として,明文で合有を認めている。平成18年に改正される前の旧信託法24条1項にも同旨の条項があり,信託財産が合有であることは明らかである。旧法時にも,上記合有の趣旨は,①共同受託者は,信託財産に対して,固有の利益を持たず,潜在的にすら持分を有

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る