共有
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10第1章 共有不動産の法律関係と共有不動産関係訴訟しないこと,②共同受託者は,それぞれの信託財産の分割の請求をしたり,持分があるとしてこれを譲渡したりすることはできないこと,③共同受託者の一部が欠けた場合には,信託財産は残りの受託者に当然に帰属することになる(したがって,相続は生じない。)と解されており(大判昭和17年7月7日大民集21巻740頁),改正後の現行法においても,同様に解されている。そして,この合有の定めは,信託行為の定めによって変更できないとされている。 したがって,信託財産における合有は,他の場合の合有と少し異なり,信託法が強行的に作用するものと考えられる。 以上につき,小野傑・深山雅也『新しい信託法解説』(三省堂,2007年)230頁以下,寺本昌広『逐条解説 新しい信託法』(商事法務,2007年)232頁以下,藤原勇喜『不動産の共有と更正の登記をめぐる理論と実務』(日本加除出版,2019年)58頁参照。⑸ 組合財産 ア 民法668条は,「各組合員の出資その他の組合財産は,総組合員の共有に属する。」と規定する。 しかし,他方で,①各組合員は,組合存続中は,組合財産の分割の請求ができず,組合財産に係る持分を処分しても組合や第三者に対抗できないことから,その処分もできない(民676条1項・2項)ものの,②脱退に際して持分の払戻請求権を有し(民681条1項・2項),③組合が解散したときの残余財産は,各組合員の出資に応じて分割される(民688条3項)。 イ したがって,組合財産の共有の形態は,民法の定める通常の共有と異なり,潜在的持分を有するものの,これが制限されている状態であり,合有であると解されている。 この合有について,最三小判昭和33年7月22日民集12巻12号1805頁は,「組合財産が理論上合有であるとしても,民法の法条そのものはこれを共有とする建前で規定されており,組合所有の不動産の如きも共有の登記をするほかはない。従つて解釈論としては,民法の組合財産の合有は,共有持分について民法の定めるような制限を伴うものであり,持分につ

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