共有
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いてかような制限のあることがすなわち民法の組合財産合有の内容だと見るべきである。そうだとすれば,組合財産については,民法667条以下において特別の規定のなされていない限り,民法249条以下の共有の規定が適用されることになる。」とし,組合の不動産について登記名義人に対してする所有権移転登記の抹消登記手続請求は,保存行為であるとして,組合員が単独で請求できるとしている。 以上ア,イにつき,我妻『民法講義Ⅴ3 債権各論中巻二』800頁以下,鈴木祿彌『新版注釈民法⒄』(有斐閣,1993年)58頁以下〔品川孝次〕参照。⑹ 相続財産 民法898条1項は,「相続人が数人あるときは,相続財産は,その共有に属する。」と定めており,これについて,民法の定める通常の共有と考えるか,合有と考えるか争いがあるが,最三小判昭和30年5月31日民集9巻6号793頁は,「相続財産の共有(民法898条,旧法1002条)は,民法改正の前後を通じ,民法249条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではないと解すべきである。」と判示し,通常の共有であるとしている。したがって,遺産共有の状態にある財産について,法令に特段の定めがない限り,民法の定める通常の共有に係る規定が適用されることとなる。その後の裁判例や実務はこの考え方によっているが,民法の共有の規定がそのままには適用されない場合もある(谷口知平・久貴忠彦『新版注釈民法〔補訂版〕』(有斐閣,2013年)92頁以下〔宮井忠夫・佐藤義彦〕参照)。 次に,項を改めて,共有不動産に係る訴訟に関係すると思われる相続財産に係る法改正について触れておくこととする。 平成30年に民法及び家事事件手続法が改正され(平成30年法律第72号),法務局における遺言書保管制度が創設(平成30年法律第73号)されるなど,相続法の大きな改正が行われたが,共有不動産関係訴訟に関わると思われる点に触れておく(堂薗幹一郞ほか『一問一答 新しい相続法』(商事法務,11ア 遺産共有イ 平成30年の民法及び家事事件手続法改正第2 共有不動産の法律関係概説

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