第11 共有関係確認請求訴訟の概説⑴ はじめに ここでいう共有関係確認請求訴訟は,数人が共同して物を所有する法律関係を確認の対象とする訴えをいう。「共有関係確認」ではなく「共有権確認」と表示することもあるが,本稿では「共有関係確認」に統一する。物権の一種である共有持分権の確認については第2で論ずることとする。 共有の本質論として,①一個の所有権を数人で量的に分有する状態であると理解し,持分の性質を一個の所有権の分量的一部分であるとする見解と,②各共有者が各一個の所有権を有し,各所有権が一定の割合において制限し合って,その内容の総和が一個の所有権の内容と等しくなっている状態であると解し,持分の性質を同一物の上に成立する他の所有権によって制限された所有権であるとする見解とがあるといわれている。しかし,どちらの説をとったとしても具体的な結論に差が生ずるわけではないともいわれている(我妻ほか『民法講義II 新訂物権法』319頁)。⑵ 確認訴訟について 共有関係確認請求訴訟は,訴えの3類型(給付訴訟,確認訴訟,形成訴訟)の1類型であるが,確認訴訟については,①法律関係に関する確認であること,②現在の法律関係に関する確認であること,③自らの権利に関する確認であること,④確認により紛争解決を図ることができるこ65第1 共有関係確認請求訴訟 本章では,共有不動産に係る共有関係確認請求訴訟,共有持分権確認請求訴訟,共有物分割請求訴訟,共有不動産に係る境界確定訴訟及び共有不動産に係る第三者異議訴訟について説明する。共有関係確認請求訴訟
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