共有
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iiiはしがき 本書は,共有不動産関係訴訟等の実務上の諸問題を解説する手引書です。 共有不動産は,通常の共有に限らず,遺産共有,合有,総有などもあり,また,分譲マンション等の区分所有建物,共有農地,共有通路,権利能力なき社団の財産,認可地縁団体の財産,記名共有地,組合財産など,それぞれの形態ごとに特別な法や制度が適用されるものも少なくありません。そして,共有不動産関係訴訟は,そのそれぞれについての共有関係や持分の確認訴訟,共有物分割訴訟,共有者間や対第三者(賃借人・占有者・抵当権者・買受人など)との登記関係訴訟,明渡し・引渡訴訟,使用料・不当利得返還請求訴訟など多様な訴訟形態を取り,更には当事者多数ゆえの所有者不明・相続人不存在の問題なども加わって,それぞれに実務的問題点があります。ところが,これらの問題について体系的に解説した実務書はこれまであまりなかったように思います。 本書は,共有不動産に関する紛争や生起する諸問題に対処する裁判官,弁護士,司法書士,行政書士等の実務家にとって,共有不動産に係る訴訟手続や関連する非訟手続についての実務上の指針となることを目指して編集したものです。そして,読者が実務で本書を参考とする際に効率よく活用できるように,体系的に,①全体的解説,②共有不動産の権利関係訴訟,③共有不動産に係る占有・金銭支払をめぐる訴訟(共有者間),④共有不動産に係る占有・金銭支払をめぐる訴訟(共有者・第三者間),⑤共有不動産に係る登記関係訴訟・非訟(共有者間),⑥共有不動産に係る登記関係訴訟(共有者・第三者間),⑦共有不動産をめぐるその他の訴訟に分類し,①で全体を概観するとともに,②から⑦の類型ごとに,訴訟物・要件事実・訴訟法上の問題点等を実践的な視点から解説し,関係判例を紹介し,請求の趣旨・請求の原因・抗弁・再抗弁等の記載例,考えられる立証方法・訴訟法上の問題点等について具体的に説明することで,訴状・申立書や準備書面等を作成する際,判決を起案する際,審理はしがき

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