66第2章 共有不動産に係る確認請求訴訟,共有物分割請求訴訟等と(確認の利益)が必要とされている。 確認請求には,当該権利又は権利関係が存在することを主張する積極的確認と逆に存在しないことを主張する消極的確認とがある。どちらも可能な場合であれば,積極的確認請求をすべきであり,消極的確認請求は確認の利益がないとされる(最一小判昭和54年11月1日裁判集民128号55頁)。 共有に係る不動産に関する確認請求訴訟においても,上記の一般的な要件を満たす必要がある。⑶ 固有必要的共同訴訟 共有関係確認請求訴訟は,共有持分権確認請求訴訟とは異なり共有関係全体を対象とするので,共有者全員を当事者とする必要がある固有必要的共同訴訟である(最一小判昭和46年10月7日民集25巻7号885頁)。大審院以来の確定判例である。これは,共有者が共有者以外の第三者に対して訴えを提起する場合も,共有者が他の共有者に対して訴えを提起する場合も同じである。 これに対して,共有持分権確認請求訴訟は,共有持分権を有する者が単独でその共有持分権の確認を求めることができる。最一小判昭和40年5月20日民集19巻4号859頁は,隣接する山林の双方が共有土地である場合に,一方の共有者の一部の者が他方の共有者の一部の者を相手としてした原告の共有持分の及ぶ範囲の確認を求めた訴えを適法とした。「共有不動産の範囲の争いにおいて共有者それぞれで異なる結論が生ずることは許されないので,必要的共同訴訟である。」との上告理由に対する判断である。 共有関係確認請求訴訟は,必要的共同訴訟として合一確定により1回で矛盾のない結論を得ることができる点でメリットがある。しかし,共有者が多数であり,その所在の調査等だけでも相当の労力を要する場合もある。共有者全員について既判力を生じさせる必要があるのであれば,共有関係確認請求訴訟をするほかないが,共有持分権を請求の根拠として訴訟をすることで目的を達することができるのであれば,その選択もないわけではない。
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