⑷ 共有の外部に対する請求と内部に対する請求 通常,共有の内部関係と外部関係は分けて議論されている(我妻ほか『民法講義II 新訂物権法』421頁,327頁)。内部関係では,共有持分の割合の問題,共有物の管理・利用の問題,共有関係の解消の問題(共有物分割)などがある。外部関係では,共有持分権の対外的主張,共有関係の対外的主張の問題である。 対外的主張の問題においては,登記請求訴訟,引渡請求訴訟等の訴訟類型に共通して問題となるのは,共有者全員で行わなければならないか(固有必要的共同訴訟),共有者単独で行えるか(通常共同訴訟)という問題である。登記請求や引渡請求などの給付訴訟においては,内部における請求と外部に対する請求では異なるとする局面があるようである。最二小判平成15年7月11日民集57巻7号787頁に関する最高裁調査官の判例解説を参照されたい。 共有関係確認請求訴訟に限定して考えると,内部における主張と外部に対する主張では理論的に区別をする実益はないように思われる。共有関係の確認請求訴訟は必要的共同訴訟であり,共有持分権の確認訴訟は通常共同訴訟であると理解してよい。 外部関係では,共有関係確認請求訴訟は共有者全員が原告となる必要がある。訴え提起に同調しない共有者がいる場合には訴えを提起できないことになる。共有持分権に基づく請求で目的を達することができれば,そのようにするほかはない。ただし,次項のような対応も考えられる。⑸ 第三者に対する共有関係確認請求訴訟において,訴え提起に同調しない共有者を被告とすることができるか67第1 共有関係確認請求訴訟 この点に関し,最三小判平成11年11月9日民集53巻8号1421頁は,共有土地の境界確定訴訟について,訴え提起に同調しない他の共有者を隣地所有者とともに被告として訴えを提起することができるとした。この判決では,境界確定訴訟の実質的非訟事件性に照らして,共有者全員が同一の歩調をとる必要がないことも理由の一つに挙げている。 このように原告であれ,被告であれ訴訟の当事者になっていれば足りるということで境界確定訴訟以外の共有不動産に関する訴訟ができるか
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