共有
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68第2章 共有不動産に係る確認請求訴訟,共有物分割請求訴訟等については,さらに問題を検討する必要がある。上記最三小判平成11年11月9日の千種裁判官の補足意見及びこの判決の判例解説(「判解」平成11年度(下)〔佐久間邦夫〕696頁)では,①被告とした他の共有者に被告適格があるかどうか,②登記請求その他の給付訴訟の場合の請求の趣旨(=判決の主文)をどのようにするかについて問題があると指摘されている。 共有関係確認訴訟が確認の利益があるとして認められる場合に,これが必要的共同訴訟であることから,訴え提起に同調しない共有者がいる場合に訴え提起できないとすると,共有関係確認の必要があるのに提訴の道がないことになる。したがって,共有持分の確認訴訟等で紛争の解決ができる場合を除き,共有関係確認について確認の利益が認められる場合は,訴え提起に同調しない共有者に共有関係確認訴訟の被告適格を認めてよいように思われる。 同調しない共有者を被告とする共有関係確認請求訴訟に限って考えれば,対外的な確認訴訟の請求の趣旨の文例は,被告がA,B及びCで,A及びBが訴え提起に同調しない共有者(被告)であるとすると,「原告らと被告らとの間において,別紙不動産目録記載の不動産が原告らと被告Cを除く被告らとの共有に属することを確認する。」(文例甲),又は「原告らと被告らとの間において,別紙不動産目録記載の不動産が原告ら,被告A及び被告Bとの共有に属することを確認する。」(文例乙)となると思われる。被告Cが本来の被告である。内部関係の訴訟では,原告,被告の全員が共有者であるので,上記の文例甲の「被告Cを除く」を削ったものが文例となる。 なお,前項で述べたように,共有関係確認訴訟については,内部関係の訴訟と外部関係の訴訟を理論的に区別する実益がなく,文例を見ても,内部関係の訴訟と外部関係の訴訟を同時に行っているとみることもできる。⑹ 民法177条の第三者と共有者 共有関係確認請求訴訟により,共有者と持分割合を確定しようとする場合に,次の最高裁判決は注意を要する。

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