共有
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4 主な抗弁,再抗弁等と記載例⑴ 抗弁について 本稿では,共有関係確認請求の請求原因として,共有関係の発生原因(相続,第三者からの共同買受け,相続分の譲受)を記載している。これを前提に考えられる抗弁について以下に検討する。 ア まず,請求原因にある第三者からの買受け等の契約による権利の発生障害事実が考えられる。請求原因の記載例4においては,元所有者甲から原告らの先代乙への所有権移転の原因である売買契約について,記載例5ないし7においては,元所有者甲から原告らへの所有権(持分権)の移転の原因である売買契約について,通謀虚偽表示による無効,錯誤,詐欺,脅迫による取消し等が考えられる。77第1 共有関係確認請求訴訟を有する。④ 被告は,本件不動産が自己の単独所有であると主張し,原告及び被告の共有であることを争っている。⑤ よって,原告らは,原告ら及び被告の間において,本件不動産が原告ら及び被告の共有に属すること,持分割合が原告ら各4分の1,被告2分の1であることの確認を求める。 ア 既に共有状態にある不動産について,その一部の共有持分の変動が生ずることは当然にあり,その移転に関して争いがあることも当然想定される。 イ 本文例は一部の持分全部を売買で承継取得した事例であるが,相続(特定承継遺言,遺贈を含む。)による場合もあり得る。 ウ 共有者の数が多数になる場合には,共有関係の確認ではなく,共有持分権の確認で済ませた方が負担は少ないが,その場合,共有物分割等を見据えた場合,不動産登記を権利実体に合致させておく必要がある。共有者全員について既判力を生じさせる必要があれば,共有関係確認請求訴訟を選択するべきである。

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