共有
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80第2章 共有不動産に係る確認請求訴訟,共有物分割請求訴訟等177条の第三者ではない。抗弁において対抗要件としての登記は不要であるが,請求原因の記載例5の場合は,原告らと被告は甲を起点とする二重譲渡を受けた関係になるので,被告が確定的に所有権を取得するには(甲が所有権を喪失するには)登記が必要である。なお,被告は,二重譲渡を受けたと主張するのであるから,利害関係ある第三者ということになり,被告は対抗要件欠缺の抗弁を主張できることになる。この抗弁が認められると,原告らは所有権移転登記を具備しないと所有権の主張ができず,再抗弁としてこれを主張することになる。被告は,いずれの抗弁も主張できるが,被告が登記具備を主張している場合には,通常は,所有権喪失の抗弁を主張しているものと解される(『4訂 紛争類型別の要件事実』65頁)。① 原告らは,令和○年○月○日,本件不動産の原告らの各持分を代金○○万円で被告に売り渡した。 ア いわゆる「所有権喪失の抗弁」といわれているものである。 イ 売渡先が被告ではなく,第三者でもよいが,その場合は,通常は被告に当該持分が還流して,争いの当事者になっているのが通常である。 ウ 共有者間の争いの場合は,持分の譲渡の事実の有無だけが争点であれば,共有関係確認請求でなく,共有持分権確認請求で足りると思われる。オ 登記欠缺の抗弁【記載例13】記載例7の原告らの所有権取得の登記欠缺の抗弁 被告は,本件不動産の共有者の1人であり,原告らの共有持分の取得について,その登記欠缺を主張する利益を有し,その所有権取得の効力を争う。エ 原告の所有権喪失【記載例12】記載例6の原告の所有権喪失

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