マン相
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 共用部分を維持する行為(共用部分の滅失・毀損を防止して現状の維持を図る行為)のうち、緊急を要するか、比較的軽度のものを指します。標準管理規約に基づく場合には理事会決議により実施することが可能です。AQ 共用部分の保存行為とは何ですか。67解説保存行為は、民法上、共有物の管理に共通する概念です。共有物の現状を維持する行為であると解されており、修繕等の物理的な行為に加え、共用部分等に関する工事請負契約に基づく修補請求等の法律行為も、保存行為に含まれま(注49)す。(注49)川島武宜ほか編『新版注釈民法⑺物権⑵』(有斐閣、2007)689頁〔濱崎恭(注50)専用使用権者による通常の使用に伴う保存行為、理事長の承認を得て行う保存行為、専有部分の使用に支障が生じた場合における緊急の保存行為については、区分所有者のみで行うことができます。(注51)標準管理規約21条6項が「理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。」と定めていることからすると、保存行為は原則として管理者(理事長)が単独の判断で行うことができるものではなく、少なくとも理事会決議を経た上で行うべきものであると解されます。いずれにせよ予算執行の必要性があるため、理事長が理事会の判断を仰がずに単独で保存行為を行うという事例はほとんどありませんが、区分所有法上の管理者の権限を制限する以上、上記の解釈は今後の標準管理規約の改正において明示されるべきものであると考えます。区分所有法上、共用部分の保存行為については、各共有者(区分所有法18条1項ただし書)及び管理者(同法26条1項)がすることができるとされています。もっとも、標準管理規約21条3項は一定の場(注50)合を除いて区分所有者が保存行為を行うことを禁止しており、かつ同条1項では「共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行(注51)う」と生・吉田徹〕。キーワード【保存行為】問48 共用部分の保存行為共用部分の管理問48 共用部分の保存行為

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