マン相
37/84

99(区分所有法19条、21条、標準管理規約25条1項)。23(ネ)8167号)。(注77)東京高判平成24年5月31日ウエストロー・ジャパン登載(事件番号:平本問のようなケースでは、役員が訴えられた場合の弁護士費用が、「敷地及び共用部分等の管理に要する経費」に当たるか否かが問題となります。上記「敷地及び共用部分等の管理に要する経費」という文言には、一見、役員が訴えられた場合の弁護士費用は含まれないように思えます。また、標準管理規約25条は区分所有法19条及び21条の区分所有者の費用負担を具体化したものであるとされ、このことからも、管理費の支出は、共用部分及び敷地の管理経費に限定されるように思えます。この点、役員の業務の遂行ないし業務の遂行に関わる行為に対して提起された訴訟に要する費用を管理組合が負担することとした総会決議は、公序良俗に反するとか、違法である等ということはできないと判断した裁判(注77)例があります。また、本裁判例は、役員の業務遂行ないし業務の遂行に関わる行為に関して訴えられた訴訟に要する費用を負担することは、役員の業務の遂行ないし業務の遂行に関わる行為に関する費用の負担であり、管理組合の自治に委ねられた支出であるということができるとも判示しています。すなわち、本裁判例は、役員の業務遂行ないし業務遂行に関わる行為に関して訴えられた訴訟に要する費用は、総会決議を経て管理費から支出できると判断したものであるといえます。役員が、役員活動に関し、損害賠償請求訴訟を提起された際、訴えられた原因を問わず、役員自身の財産から弁護士費用を支出しなければならないとすれば、役員のなり手は、より一層少なくなると思われます。現状、役員のなり手不足が問題となっているマンションは多くあります。この点を鑑みても、役員の業務遂行に関わる行為に対して提起された訴訟に要する費用を管理費から支出することを、認める必要があると思われます。なお、役員の業務遂行に関しない、個人としての行為が原因で訴えられた場合においては、管理費から弁護士費用を支出することは認められません。問71 役員が訴えられた場合の弁護士費用

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る