マン相
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 当該マンションの管理規約では、管理費等の金額は別表を根拠として定められていると解釈されるため、特別決議が必要です。A214本問のようなケースにおいて決議要件を検討するに当たっては、管理費等の金額の根拠が総会決議にあるのか、管理規約別表にあるのかを検討する必要があります。本問のように管理費等の具体的な金額を別表に委ねる表現が行われている場合には、金額は規約別表を根拠として決定されていると考えざるを得ず、特別決議によって別表の変更を行わない限り金額変更は認められないでしょ(注130)う。これに対し、標準管理規約のように「管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出する」(標準管理規約25条2項)とされている管理規約や、「管理費等……の額並びに賦課徴収方法」は総会決議で定めるとされている(標準管理規約48条6号)ような管理規約では、普通決議によって金額変更が可能と考えら(注131)(注132)れます。別表の問題解説管理費等の金額の変更は「共用部分の管理に関する事項」に該当するため、特別決議事項として定められていない限り普通決議により変更することができます(区分所有法18条)。しかし、管理規約に管理費等の具体的金額に関する別表が置かれている場合には、普通決議で金額を変更できるとは直ちに断定できません。管理規約の別表は、特段の事情がない限り、規約本文と一体のものと考えられ、その内容を変更するには特別決議が必要であるためです(標準管理規約54条1項2号)。(注130)東京地判平成22年8月27日ウエストロー・ジャパン登載(事件番号:平22(ワ)1159号)は、本問の事例と同様の規定が置かれていたケースにおいて「本件マンションにおける修繕積立金の金額は、本件規約において定められたものであって、その金額の改定は、本件規約の変更に当たるものといわざるを得ない。」と判示しています。(注131)東京地判令和2年12月16日ウエストロー・ジャパン登載(事件番号:平29(ワ)42265号・平30(ワ)28874号)は、管理規約等の別表が置かれていたケースにおいて、規約の具体的な解釈を行った上で普通決議での金額の変更を認めています。(注132)別表は管理費等金額の参考として掲載されていると捉えることになります。ただし、この場合でも、別表の記載を変更するためには特別決議を要すると考えられます。

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