マン相
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解説1 マンション管理業界のカスハラの特徴第8条 本契約に基づく甲の乙に対する管理事務に関する指示については、法令の定めに基づく場合を除き、甲の管理者等又は甲の指定する甲の役員が乙の使用人その他の従業者(以下「使用人等」という。)のうち乙が指定した者に対して行うものとする。① 本条は、カスタマーハラスメントを未然に防止する観点から、管理組合が管理業者に対して管理事務に関する指示を行う場合には、管理組合が指定した者以外から行わないことを定めたものであるが、組合員等が管理業者の使用人その他の従業者(以下「使用人等」という。)に対して行う情報の伝達、相談や要望(管理業者がカスタマーセンター等を設置している場合に行うものを含む。)を妨げるものではない。また、「法令の定め」とは、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第34条第3項に規定する集会の招集請求などが想定さ229ハラ対策に関する条項等が大幅に追加されました。管理会社としては、自社の従業員がカスハラを受けていることを認識しながら漫然と放置した場合には、安全配慮義務違反(労働契約法5条)となる可能性がありますので、企業として毅然と対応することが望まれます。マンション管理業界のカスハラ問題は他の業界に比べても極めて深刻です。その理由は多岐にわたりますが、マンション管理業界のクレーム対応を最も難しくしている理由は、当事者が多数存在することです。通常の取引においては、契約当事者は1対1であり、クレームを主張する相手も、その契約の相手方のみです。ところが、マンション管理会社には契約の相手方である管理組合としてではなく、多数の区分所有者がクレームを主張してくるという特徴があります。当然のことですが、一般的な契約において、契約の相手方以外の者からの管理事務に関する指示は聞く必要がありません。このことを明確化するため、2023年の標準管理委託契約書の改訂において、管理事務の指示に関して、以下の条項が追加されました。標準管理委託契約書第8条(管理事務の指示)標準管理委託契約書コメント8 第8条関係問169 マンション管理業界のカスタマーハラスメント対策

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