マン相
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 捜査関係事項照会に応じて居住者の情報を渡すこと自体は個人情報保護法違反となりませんが、必要最小限の範囲にとどめる必要があります。居住者名簿の全体を提供することは望ましくありません。A260ただし例外として、個人情報保護法27条1項各号のいずれかに該当する場合には、本人の同意がなくとも個人データを第三者提供することが認められます。警察による捜査関係事項照会は、刑事訴訟法197条2項が「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」と規定することを根拠に行われるものであり、「法令に基づく場合」(個人情報保護法27条1項1号)に該当すると考えられます。もっとも、法令の根拠があるからといって、求められた情報を何でも共有してよいというわけではありません。今回のケースでは、警察はとある一室に出入りする居住者の情報だけを得れば足りるはずです。そうであるにもかかわらず、他の居住者の情報を含む名簿全体の共有を求めるというのは、刑事訴訟法197条2項にいう「必要な事項」の範囲を超えるものであり、「法令に基づく場合」に該当しないのではないかと考えられます。管理組合としては、捜査関係事項照会書に記載された照会事項を検討し、場合によっては必要最低限の情報を抜粋するなどした上で共有を行う必要があるでしょう。個人情報保護関係解説マンション管理組合の組合員名簿は個人情報保護法16条1項にいう「個人情報データベース等」と考えられますから、原則として、記載された氏名等の個人データを本人の同意なく第三者に提供することは禁止されています(個人情報保護法27条1項柱書)。

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